宅地建物取引士資格試験とは?その内容や攻略法は?

宅地建物取引士資格試験とは?その内容や攻略法は?

宅地建物取引士資格試験とは

宅地建物取引業(いわゆる不動産会社)を運営する者は、宅地建物取引業法に基づき、国土交通大臣又は都道府県知事の免許を受ける必要があります。

その免許を受けるにあたり、宅建業者は法令等で定められている諸条件等を考慮して、専任の宅地建物取引士を置かなければならないとされています。

宅地建物取引士になるためには、まず、宅建業法で定める宅地建物取引士資格試験に合格する必要があります。

年に一度試験を実施しており、例年10月の第3日曜日に開催されています。

申込時期は7月上旬に開始し、その費用は7,000円です。

ちなみに、平成30年度の宅建試験概要は下記の通りでした。

<申込受付期限>
郵送:平成3072日(月)~ 731日(火)まで
インターネット:平成3072日(月)~ 717日(火)まで

<試験日>
平成301021日(日)

<合格発表日>
平成30125日(水)9:30

 

宅建試験の合格率

平成27年度、「宅地建物取引主任者」から「宅地建物取引士」へ名称変更がありました。

士業化された平成27年以降受験者数は増加傾向にあり、合格率も微減ながら15%を維持しています。

平成30年度の合格者数はまだ発表されていないのでわかりませんが、過去10年分の推移は次の通りです。

実施年度 申込者数 受験者数 合格者数 合格率
平成30年度 265,444 213,914 未発表
平成29年度 258,511 209,354 32,644 15.59%
平成28年度 245,742 198,463 30,589 15.41%
平成27年度 243,199 194,926 30,028 15.40%
平成26年度 238,343 192,029 33,670 17.53%
平成25年度 234,586 186,304 28,470 15.28%
平成24年度 236,350 191,169 32,000 16.74%
平成23年度 231,596 188,572 30,391 16.12%
平成22年度 228,214 186,542 28,311 15.18%
平成21年度 241,944 195,515 34,918 17.86%
平成20年度 260,591 209,415 33,946 16.21%
平成19年度 260,633 209,684 36,203 17.27%

 

 

合格率が低い理由

誰でも受験できる

士業は一定の受験資格を満たさないと受けられないものもあります。

例えば税理士試験は、学歴、資格、職歴上の条件を満たさないと受験できません。

ところが宅建試験は、犯罪等法令違反を犯していなければ、受験料さえ払うと誰でも受験できます。

受験のハードルが低いことから受験者数が必然的に増加してしまい、難易度が高く見えてしまっているのが現状です。

不動産業界に就職した社会人が受けさせられる

不動産会社は一定の従業員数に対して、一定の宅建士を置かなければなりません。

従業員数を増やす場合は、その分宅建士を増やさなければなりません。

宅建士を採用するのが一番早い方法ですが、現状は採用した従業員に対して宅建士試験を受けさせてその取得を推進しています。

法律科目を一から勉強するのはハードルが高いため、入社した年度のうちに宅建試験を合格するのは難しいでしょう。

宅建試験合格点

過去の試験実施結果

実施年度 合格点
平成30年度
平成29年度 35点
平成28年度 35点
平成27年度 31点
平成26年度 32点
平成25年度 33点
平成24年度 33点
平成23年度 36点
平成22年度 36点
平成21年度 33点
平成20年度 33点
平成19年度 35点

 

50問中36点以上

過去の傾向より、36点以上の得点を獲得していれば合格ラインに乗ります。

難易度により多少前後する可能性もありますが、7割以上取れれば十分です。

 

宅建業法をいかに攻略するかが勝負

宅建試験科目の内訳は、下記の通りです。

科目 点数 目標点
1〜14 民法 14点 8点
15〜22 法令上の制限 8点 5点
23〜25 税法等 3点 2点
26〜45 宅建業法 20点 18点
46〜50 その他知識 5点 3点

一番配点が高い科目は宅建業法であり、試験全体の4割も占めています。

宅建業法は、全科目の中で比較的易しい問題が多く、受験生の獲得源ともなっています。

宅建業法でいかに満点に近い点数を取れるかが合否を左右しており、取りこぼしのないよう確実に正解することが重要です。

 

宅建試験科目

民法(14問中8問正解を目指す)

民法は全部で1044条あり、学習範囲が幅広くあります。

主に宅建試験で出題されるのは、不動産取引に関連する人が関わる権利の決まりについてです。

民法は下記のように構成されていますが、不動産取引に関連する内容が多く占めているので、結局は全条分から満遍なく出題されます。

第1編 総則 財産法
第2編 物権
第3編 債権
第4編 親族 家族法
第5編 相続

民法を得点源とするのは難しいので、基本的には過去問に出題されている内容を確実に取れるよう学習することが重要です。

問われる内容はある程度過去と同じ事項なので、頻繁に出てくる問題を押さえておけば十分です。

試験本番で、過去問に出題されていない難易度の高い問題が出たとしても、どの受験者も得点できません。焦る必要はありません。

学習時間は多いのにも関わらず得点源にするのは難しい科目でありますが、宅建業法の次に出題数が多いので、頻出論点を確実に抑えておきましょう。

14問のうち、民法に関連した借地借家法が2問、区分所有法が1問、不動産登記法が1問出題されますが、これらは民法と比べて獲得しやすい法律科目なので、簡単な問題の取りこぼしがないように対策を練る必要があります。

 

法令上の制限(8問中5問正解を目指す)

法令上の制限は、不動産取引に関連する制限に関連した法令が出題され、その構成は主に下記の通りです。

ただし、点数配分は年度によって異なります。

法律 点数
都市計画法 2点
建築基準法 2点
土地区画整理事業法 1点
農地法 1点
宅地造成等規制法 1点
国土利用計画法 1点

都市計画法と建築基準法から合計4問も出題されるので、ここは獲得したいところです。

ただし、建築基準法は覚える数字が多いので、対策を取りにくい科目とも言われています。

法令上の制限にかかる科目全般に言えることですが、制限のかかる諸条件は必ず覚えましょう。

例えば各法律において聞かれるポイントは、次の通りです。

都市計画法

開発許可が

不要の場合

都市計画区域

準都市計画区域

左記以外

市街化区域

市街化
調整区域

区域区分なし

①小規模な開発行為

1,000㎡未満

許可必要

3,000㎡未満

3,000㎡未満

10,000㎡未満

②農林漁業用建築物

許可必要

不要

不要

不要

不要

 ③公共上必要な建築物の建築のための開発行為
 ④都市計画事業、土地区画整理事業などの施工として行う開発行為
 ⑤非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為
 ⑥通常の管理行為や簡易な行為

 

国土利用計画法

国土利用計画法 区域の指定なし 注視区域 監視区域 規制区域
提出方法 届出制 届出制 届出制 許可制
届出対象面積 都市計画区域 ○市街化区域  …2,000㎡以上 都道府県の規則で定められた面積以上 面積要件なし
○市街化調整区域…5,000㎡以上
○区域区分なし …5,000㎡以上
○都市計画区域外…10,000㎡以上
時期 契約締結日から起算して週間以内 契約締結前 契約締結前 契約締結前
審査対象 土地の利用目的 土地の利用目的

土地の価格

土地の利用目的

土地の価格

土地の利用目的

土地の価格

無届・無許可の場合 契約は有効 契約は有効 契約は有効 契約は無効

 

こうした数字を確実に抑えておくと、5点は獲得できると考えられます。

 

税法等(3問中2問正解を目指す)

税法等も出題範囲は広いのにも関わらず、出題数が多くありません。

不動産取引にかかる税法が出題されますが、国税と地方税から出題されます。

国税からは、所得税、印紙税、登録免許税、贈与税が

地方税からは、固定資産税、不動産取得税が対象範囲となっています。

また、税法等の分野には不動産評価の関連法律も含まれており、地価公示法と不動産鑑定評価基準も対象となっています。

地方税からは毎年固定資産税と不動産取得税が交互に1問ずつ出題されています。

ちなみに平成30年度は不動産取得税、平成29年度は固定資産税、平成28年度は不動産取得税、平成27年度は固定資産税、平成26年度は不動産取得税、平成25年度は固定資産税、平成24年度は不動産取得税というような過去の出題傾向があります。

平成31年度は固定資産税かと予想されますので、傾向に沿った学習を重点的に取り組むことで確実に1問は抑えられます。

国税も2年連続で出題されるケースが少ないので、過去の傾向から予想して法令を押さえておけば、確実に得点できるのではないかと思います。

また、不動産評価に関する法令について、出題される対象の範囲は一部しかないので、テキストに掲載されていたり過去問に出題されている内容を確実に抑えておけば、対策としては十分かと思います。

 

宅建業法(20問中18問正解を目指す)

宅地建物取引業法の条文は、第86条で構成されています。

民法、法令上の制限、税法と比較すると明らかに出題範囲が狭く、学習効率が高い科目です。

しかも20問も出題されることから、確実に得点したい科目です。

基本的に法律を勉強するときは、根拠条文を確認することで、法令上の独特の言い回しになれることができます。

特に、法律科目の初学者は、根拠条文を読むことは非常に大切です。

民法、法令上の制限、税法において全て根拠条文を参照するのはかなり時間がかかり非効率でありますが、宅建業法は条文がそのまま試験に出てくるので、時間に余裕がある場合、宅建業法全体を条文で追ってみるのもありかと思います。

20問中1問は「住宅瑕疵担保履行法」が出題されますが、これも比較的容易に得点できるので、必ず得点しましょう。

宅建業法で高得点を獲得しなければ、合格は難しいと考えてもらって差し支えありません。

 

その他知識(5問中3問正解を目指す)

その他知識は例年下記内容が出題されます。

内容 点数
住宅金融支援機構法 1点
不当景品類及び不当表示防止法 1点
統計 1点
土地 1点
建物 1点

毎年同じような内容が出ているので、受験生は確実に取りこぼしのないようにしなければなりません。

基本的に過去問の内容を抑えておけば3点は獲得できるでしょう。

ただし、統計は最新の数字を覚えないといけないので、Youtubeなどで宅建講師の動画を視聴することにより、統計データをおさえることが大切です。

 

本番試験で解く順番

試験時間は2時間あります。

慣れてくると過去問を1時間半もかからずに解き終わるようになりますが、試験本番ではやはり時間がかかります。

しっかり勉強をすれば2時間の範囲内で余裕に解き終わりますが、愚直に最初の民法から解き始めると結構時間を取られてしまうので、解いていく順番は非常に重要です。

ちなみに、私は試験本番では各分野を解き終わるのに、下記の時間がかかりました。

科目 時間 1題あたり
1〜14 民法 30分 2分 9秒
15〜22 法令上の制限 10分 1分 15秒
23〜25 税法 5分 1分 40秒
26〜45 宅建業法 30分 1分 30秒
46〜50 その他知識 5分 1分
合計 1時間 20分

民法は難しい上に読む文量も多いため、問題数の割には結構時間を取られます。

さらに、1問は判例問題と言って、文章理解に似た国語力が試される問題が出題され、正誤判定のために一番時間を要します。

したがって、民法は後に回すことで精神的に余裕を持たせ、実力を発揮できるよう対策を練りましょう。

 

宅建業法その他知識民法法令上の制限税法

宅建業法は簡単な上に確実に点数を獲得しなければならないので、最初に解きます。

簡単な問題から取り組むことにより集中力が高まってくるので、調子が上がってきます。

あれ?民法は難しいから最後に取り組むわけではないの?と思ったかもしれません。

本当は「宅建業法→その他知識→法令上の制限→税法→民法」という順番が理想です。

しかし、これら科目に集中し、誤りなく確実にマークすることも試験を受ける上で重要なことです。

仮に、「宅建業法→その他知識→法令上の制限→税法→民法」という順番で解いていくとしましょう。

「宅建業法→その他知識」は問26〜問50なので、そのまま解き進めれば問題ありません。

しかし、「その他知識→法令上の制限」に差し掛かる時に注意が必要です。

法令上の制限は問15からスタートするため、マークシートの途中から塗りつぶしていかなければなりません。

上から塗りつぶしていけば確実にマークできると思いますが、途中からマークし始めるのはマークミスを発生させる危険があります。

確かに民法を最後に回してゆっくり解きたい気持ちもありますが、緊張感のある本試験において、問26〜50まで解き終わった後に、問1〜14を飛ばした上で問15の場所に確実にマークできるか…、正直やめた方が良いです。

したがって、解答用紙の都合上、「26問目~50問目1問目~25問目」という解き方の流れがマークミスなく解答できるので、「宅建業法その他知識民法法令上の制限税法」という順番が一番良いです。

資格カテゴリの最新記事