公務員試験論文対策(観光政策)

公務員試験論文対策(観光政策)

観光政策の出題傾向

観光対策はどの公務員試験でも出題しやすい論点です。

政策の規模が国家レベルの莫大なものから、市町村レベルの小さい規模のものも考えられるからです。

したがって、どの試験で出題されたかによって、論じる内容は異なってきます。

それぞれ出題されている試験において、どのレベルの政策を考えれば良いのか、立場をわきまえて論じなければなりません。

市町村の試験で出題されている内容に対して、国家プロジェクト規模の政策を書いたら、いくら論文として素晴らしい体裁を整えられていても、一発でアウトですからね(笑)

 

出題例

今までの出題傾向としては、問題文中に課題が設定されており、それに対する解決策を述べさせる形式が多くありました。

しかし、近年では統計資料が掲載され、その資料から自分で課題と思うことを抽出し、解決策を述べさせる形式も多く見られます。

では、観光政策に関する過去の出題例をいくつか挙げておきます。

特別区職員(大卒程度):平成25年度

東京は、東京スカイツリーの開業や東京駅の復元、様々な商業施設の開業などに加え、2020年のオリンピック・パラリンピック開催地へ立候補するなど、国内外の人々に魅力あるまちであることをアピールしていく好機を迎えています。
あなたが発信していきたい東京の魅力を述べた上で、東京がより一層魅力あるまちとなるために、特別区の職員としてどのように取り組むべきか、あなたの考えを論じなさい。

国家公務員一般職:平成29年度

 我が国において、今後、長期的に人口減少・少子高齢化が見込まれる中、力強い日本経済の復活に向けた成長戦略の柱の一つとして、「観光」が注目を集めており、世界に誇る観光立国の実現に向けて、官民挙げて様々な取組が行われている。2020年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される予定であり、政府の「明日の日本を支える観光ビジョン」によると、2020年には訪日外国人旅行者数を2015年の約2倍の4,000万人に増やすなどの目標が掲げられているところである。
このような状況に関して、以下の問いに答えなさい。
(1)我が国が観光立国の実現を推進する必要性や意義について、あなたの考えを述べなさい。
(2)(1)に照らして、観光立国の実現を推進するために我が国がおこなうべき施策について、あなたの考えを具体的に述べなさい。

東京都Ⅰ類A:平成30年度

(1)別添の資料から、東京を世界に開かれた国際・観光都市にするために、あなたが重要であると考える課題を200字程度で簡潔に述べよ。
(2)(1)で述べた課題に対して、都を含む行政は具体的にどのような取り組みを進めるべきか、都の現行の施策に言及した上で、あなたの考えを述べよ。

 

公務員試験での論文構成

「どれも問題文の内容が違うし、どのように書けばいいの?」と感じるかもしれません。

上にあげた各問題でも、基本的に論文構成はほぼ同じ流れと考えて構いません。

特別区の論文出題内容が基本的な問題ですが、国家一般職や東京都のように(1)、(2)と設問を分けている場合も多くあります。

(1)や(2)に分かれていて、それぞれで述べるべきことが記載されている場合は、設問に沿った論述をしていかなければなりませんので気をつけてください。

「どういう流れで書くの?」と言いますと、どの公務員試験では基本的に「①背景・現状→②問題定義→③解決策」という構成であると考えてください。

もちろん、この中で背景だけで9割を占めている論文だと、自分の意見が全く記載されていないものなのでボツ論文になります。

バランスとしては、「背景・現状2割+問題定義2割+解決策6割」が理想です。

「背景・現状+問題定義」はそれぞれ合わせて4割ほどでおさめれば問題ないかと思います。

というのも、論文では「あなたはどう考えているの?」と問われていて、出題者は受験者がどのように考えているのかを問うているので、解決策を重点的に論じなければ意味がありません。

ただし、解決策を論じるまでの問題定義を理論的に書くことができているかも問われているので、前半の「背景・現状〜問題定義」も、解決策と同じくらい十分に論理構成を練った上での記述が必要です。

特別区の設例だとこのような割合を意識しなければなりませんが、国家一般職や東京都のような問題ですと、意識しなくても自然といいバランスの論文ができると思います。

国家一般職の問題では、設問の通りに論述していくと、(1)では①背景・現状、②問題定義を述べ、(2)では③解決策を述べていくことになるからです。

※国家一般職では設問文中で、すでに背景(2020年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される予定であり〜)が述べられているので、①は不要かもしれません…と言っても、体裁上少しは言及しておきたいな〜というところです。

東京都の場合でも、(1)では①背景・現状、②問題定義を述べ、(2)では③解決策を述べることになります。

 

背景・現状

色々定義があると思いますが、公務員試験での論文では、「背景=社会で起きている一般的な事象のことと考えてください。

例えば、観光政策の論文おける背景としては、以下の内容が考えられます。

●2020年東京オリンピック・パラリンピックを契機に、国や地方自治体が訪日外国人旅行者の増加を目指している。
●観光産業は国に対する経済効果が高いとされており、国際社会で勝ち抜くためにJAPANブランドを確立することが重要である。
●訪日外国人旅行者との直接的な交流は、インターネットでの情報収集に比べて異文化への理解をより深めるものであり、国際的相互理解の増進につながるとされている。

論文上で使用する言葉について

大幅に減点されることはないと思いますが、なるべく設問中に記載された文言を統一して使ってください。
例えば、「訪日外国人旅行者」と問題文中に記載があったら、「外国人観光客」と言った類語を使用するのは好ましくありません。
また、カタカナを乱用するのも避けましょう。
ただし、国が白書などで使っている言葉であれば問題ありません。
「JAPANブランド」は中小企業庁の補助事業の名称としてあるので、使用しても問題ないかと思います。

 

また、公務員試験での論文において、「現状=今、社会で起きている好ましくない状況」と考えてください。

背景と何が違うのか分かりにくいですが、背景はダイナミックな視野で見た社会の状況で、現状は現場レベルで起きているちょっと嫌な身近なことと思ってください。

資料が提示されていて、そこから問題を抽出するような論文では、その資料に記載されていることからどう言う現状にあるのかを述べていくと良いです。

観光政策の論文における現状とは、例えば次のことが考えられます。

①訪日外国人旅行者の多くは、観光地において自力で情報収集することが困難であると感じている。
②訪日外国人旅行者の増加により、観光地における訪日外国人旅行客の迷惑行為が多くなっている。
③観光地の飲食・宿泊業者は、英語に対する理解が疎い方も多く、訪日外国人旅行客の受け入れに抵抗感を示すことがある。

 

問題定義

問題とは、先ほど挙げた現状が起きている原因や、理想と現状とのギャップのことを言います。

例えば、先ほど挙げた現状をもとに問題を考えてみます。

①訪日外国人旅行者の多くは、観光地において自力で情報収集し、円滑に旅行することが困難であると感じている。
→自国ではあらゆるところでインターネットができるのに、日本では自分の持っている電子端末で情報収集ができないし、どこで何に乗れば行きたいところに行けるのかわからない…!
→少し難しく言うと…
公共交通機関、宿泊・観光施設における情報収集端末及びインターネット接続環境が十分に整備されていないのに加え、日本の標識等を理解できない。

 

②訪日外国人旅行者の増加により、観光地における訪日外国人旅行客の迷惑行為が多くなっている。
→訪日外国人旅行者がそもそも日本における常識を知らない可能性があるし、それを知らせる手段がない…!
→少し難しく言うと…
訪日外国人旅行者が、日本の伝統・文化に対する理解が不十分であるため、観光地の住民に対しての適切な振る舞いができていない。

 

③観光地の飲食・宿泊業者は、英語に対する理解が疎い方も多く、訪日外国人旅行客の受け入れに抵抗感を示すことがある。
→受け入れ事業者が外国人にどのように対応したらよいかわからないし、そもそも英語がわかっていてもどのように伝えればいいかわからない…!
→少し難しく言うと…
宿泊・観光業者は、近年増加した訪日外国人旅行客に対する受け入れ体制を整備できておらず、またそのノウハウを習得できていない。

解決策

解決策はそのままの意味ですね。

例えば、先ほどの例を引き続き使用すると次の通りになります。

①訪日外国人旅行者の多くは、観光地において自力で情報収集し、円滑に旅行することが困難であると感じている。
公共交通機関、宿泊・観光施設における情報収集端末及びインターネット接続環境が十分に整備されていないのに加え、日本の標識等を理解できない。
Wi-Fi整備にかかる補助事業を推進するとともに、デジタルサイネージ及びISO規格による案内用図記号(ピクトグラム)の設置を促進することにより、言語の障壁を乗り越えて誰もが簡単に移動できる環境を構築する。

 

②訪日外国人旅行者の増加により、観光地における訪日外国人旅行客の迷惑行為が多くなっている。
→訪日外国人旅行者が、日本の伝統・文化に対する理解が不十分であるため、観光地の住民に対しての適切な振る舞いができていない。
訪日外国人旅行者に対して、旅行事業者等と協力の上、多言語表記された日本旅行ガイドを配布する。また、観光地における多言語化された観光案内等を設置することにより、訪日外国人旅行者に対する礼儀作法を習得する機会を与える。

 

③観光地の飲食・宿泊業者は、英語に対する理解が疎い方も多く、訪日外国人旅行客の受け入れに抵抗感を示すことがある。
→宿泊・観光事業者は、近年増加した訪日外国人旅行客に対する受け入れ体制を整備できておらず、またそのノウハウを習得できていない。
宿泊・観光事業者向けに現場対応者研修を実施し、外国語に対応できる人材育成を実現することで、円滑な受け入れ体制を整える。

※解決策は、国視点、都道府県視点、市町村視点バラバラに書いています。

 

「問題」と「課題」の違い

問題とは、先ほど述べた通り、現状が起きている原因や、理想と現状とのギャップのことを言います。

課題は「問題を解決するための達成目標」のことです。理想像に近い概念でしょうか。

また、解決策は「課題を解決するための具体的な取り組み」のことです。政策のことです。

私自身結構ここら辺の定義はこんがらがることがあります。

深く突き詰めると、問題が課題になっていたり、問題の裏返しとして解決策を書いたり…

最初はわけわからなくなっても大丈夫です。誰かに見てもらって直してください。笑

論文に書き慣れるしかないと思います。

東京都の試験では、課題までを(1)で書かせて、具体的な取り組みを(2)で書かせているので、結構しんどいと感じましたが…模範解答を見てみたいですね。

 

論文対策

近年までの論文の勉強方法は、あらかじめ出題が見込まれるお題について丸暗記して、本番中には暗記した内容をかけるように訓練するようなやり方でした。

しかし、これでは暗記したお題以外のものが出た時に、何も書けなくなってしまいます。

暗記することも大切ですし、やはりある程度覚える作業は必要です。

論点を整理したメモ程度のものを暗記して、本番に理論立てて書けるように訓練することが大切です。

また、資料が与えられていて、自ら課題を抽出する論題は、自分の思うように課題設定ができるので、解決策などはどの受験生も同じような内容になります。

そこで問われることは、理論立てて課題を抽出しており、解決策の提示も筋道立てて説明しているかどうかです。

したがって、単なる暗記で対応できるような論文ではなく、資料から自分で課題を設定できるように訓練しておくことが大切なのかなと思います。

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