よくニュースなどで、公務員の平均年収が話題になる時がありますね。
そのタイミングは、景気が悪くなった時やボーナス支給の頃でしょうか。
世間からすると、窓口で何もしていない気楽な職員がそんなに年収もらえるの?!とびっくりしてしまうことでしょうね。
確かに公務員は年功序列制なので、年を重ねるにつれて年収が上がります。
しかし、実際に支給されている側としては、ちょっと多く見積もって報道されていないかな?と思うこともしばしありました。
そこで、「平均年収」という言葉に隠されている背景をよくよく考えたところ、やはり私たち地方公務員はこの平均年収よりも少し下回った年収を受け取っていることがわかりました。
その世の中のニュースが意味している「平均年収」のカラクリについて、紹介いたします。
地方公務員の平均年収
どの人が地方公務員にカウントされるのか?
まず、地方公務員ってどういう職員が含まれているのか、その範囲を明らかにする必要があります。
地方公務員といえば、市役所などに勤めている事務職の公務員が思い浮かぶと思います。
しかし、地方公務員には事務職のみならず、教師、警察官、消防士も含まれています。
東京都を例にとると、その内訳は次の通りになります。
区分 |
平成30年度条例定数 |
東京都職員定数条例 |
38,537 |
学校職員定数条例 |
64,566 |
警視庁設置条例 |
46,501 |
東京消防庁職員定数条例 |
18,502 |
全任命権者総計 |
168,106 |
普通の事務職は、38,537人いるみたいです。
したがって、公務員試験を受けて事務職として勤務している職員は、全体の22.92%ほどであることがわかります。
これの何が問題なのかというと、平均年収は事務職のみならず、教師、警察官、消防士の年収が計算のうちに含まれてしまっているということです。
ちなみに専門用語に置き換えると、
事務職=一般行政職
警察官=警察職
教師=教育職
という言葉になります。
各種別の平均給与は?
東京都のホームページに記載されていたので、引用いたします。
一般行政職 | 警察職 | 小中学校教育職 | 高等学校 教育職 |
---|---|---|---|
445,081円 | 492,284円 | 440,863円 | 465,684円 |
(注)
(1)「平均給与月額」とは、給料に諸手当を加えたものの平均月額です。
(2)「平均給与月額」には、期末・勤勉手当(いわゆるボーナス)は含まれていません。
この表を見てもお分かりの通り、警察官や教師は事務職より明らかに給与が高いです。
警察官は危険を伴う仕事なので、普通より多くもらわないとやっていけませんよね。
しかも、事務職よりもらっている警察官や教師の方が明らかに職員数が多いことを考えると…
ニュースでよく聞く地方公務員の平均年収は、事務職の平均を正確に反映している数字ではないことがわかります。
したがって、事務職はもう少し平均年収が低くなります。
(消防士はどこに該当しているのかわかりませんでしたが、警察官と同じく危険な仕事なので事務職よりは明らかに高い給与を得ていることが考えられます。)
「平均」に騙されないで!
統計学を習っている人であれば、平均という数字が全く参考にならない数字だというのはご存知のことと思います。
その内訳として分母のうちに算入されている対象がどの職員であるかにより、年収の額も変わってきてしまいます。
ニュースで見るような平均年収は、あくまでも参考値として考えていただき、事務職の平均年収は若干低くなるということを覚えていただければと思います。